【英語論文の表現/第4回】「簡単のために」という表現“for (the) sake of simplicity”

最近、英語で論文を書いていて「簡単のために」という表現を使ったのですが、英文校正で修正されていたので、ちょっとまとめます。

論文を書いていると、例えば「実際は2次元なのだけども、2次元で考えると複雑なので、紙面上は1次元で考えて説明します」みたいな状況があります。

そういうときに、日本語だと「“簡単のために”、今回は1次元として扱います」みたいな書き方になるわけですが、英語でこの「簡単のために」はどう表現するのかというのが今回のトピックです。


どう修正を受けたか

今回、英文校正を通す前に自分が書いた表現は「For simplification,」でした。Weblioとかで検索すると、この英語を使った「簡単のために」の例文がいくつか出てきます。

【Example】
Only a counterclockwise laser beam is shown by an arrow for simplification. – 特許庁
(簡単のため反時計回りレーザー光のみを矢印で示してある。)


この「For simplification」は校正を受けて、「For sake of simplicity,」に修正されました。

検索すると、この表現も普通に載っています。

for sake of simplicity <for (the) sake of simplicity>
簡単に[単純化]するために、便宜上

あと、この表現をタイトルに使っている論文も見つけました。

Mark Yatskar, Bo Pang, Cristian Danescu-Niculescu-Mizil, and Lillian Lee. 2010. For the sake of simplicity: unsupervised extraction of lexical simplifications from Wikipedia. In Human Language Technologies: The 2010 Annual Conference of the North American Chapter of the Association for Computational Linguistics (HLT ’10). Association for Computational Linguistics, Stroudsburg, PA, USA, 365-368.

正直、校正者の好みなのではないかと感じたのですが、simplificationとsimplicityって何が違うんだっけ? という疑問も湧いてきて、勉強してみようというところでこの記事をまとめるに至りました。

Simplification VS Simplicity

まずは辞書で調べた結果をまとめます。

■ simplification
名詞
1.不可算名詞 平易化,簡易化.
2.可算名詞 平易化した[された]もの

■ simplicity
名詞
不可算名詞
1.簡単,平易; 単一,単純.
2.簡素,質素,地味.
3.純真,無邪気,気取りのないこと.
4.人のよいこと,実直; 無知.

一つ大きな違いとしてあるのが、
(1) 動詞Simplifyの名詞形がSimplification
(2) 形容詞Simpleの名詞形がSimplicity
です。

また、以下などにも解説があります。

Simplification vs Simplicity – What’s the difference?https://wikidiff.com/simplification/simplicity

まとめると、Simplificationは動詞Simplify(単純化する)の派生なので、名詞とは言え「単純化」という動作を示します。特に「(複雑なプロセスなどの)単純化」という意味を含むようです。

一方、Simplicityは形容詞「Simple」からの派生なので、一言で言えば「単純さ」なのですよね。

「あなたの服装はシンプルだね」というときのシンプルさは「Simplicity」なのだと思います。「Simplification」ではありません。

そういう意味では、この二単語は意味やニュアンスは異なると思うのですが、今回の用途ではどちらが適切なのでしょうか。

今回の「簡単のために」の表現はどちらが適切か

結論から言うと、やはり校正者の好みなのではないかと感じました。

ただ、一点感じたのは、今回の2次元のものを1次元で説明しようというのは、実際は1次元で扱うわけではなく、あくまで「説明の便宜上、そう扱おう」というニュアンスを含みます。

複雑な計算プロセスを単純化するためというニュアンスでも捉えられるものの、「単純さ」のために記載内容を(便宜上)シンプルにしているとも捉えられます。

あまりニュアンスがよくわかっていないのですが、単に説明上、便宜的に単純に表現してしまおうという意味だと、Simplificationだと少しニュアンス的に外れる可能性はあります。

自分としてはこだわりはありませんので、今後「簡単のために」はFor (the) sake of simplicityにしようかと思っていますが、For simplificationも誤りというほどないのかなと思っています。

まとめ

「簡単のために」という表現で「For (the) sake of simplicity」という表現を習得しました。

便宜的に簡単にするようなケースでは、今後この表現を用いたいと思います。

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