本日は行列のコレスキー分解の概要と、その計算方法について紹介したいと思います。
行列のコレスキー分解は、適用可能な行列は限られますが、連立一次方程式を高速に解いたり、高速に逆行列を算出することにおいて有用な役割を果たします。
コレスキー分解とは
行列のコレスキー分解とは、ある正定値エルミート行列
正定値エルミート行列
実応用では行列要素を全て実数値で扱うことも多いことから,以後の説明は実対称行列
実対称行列へのコレスキー分解の概要
ある正方行列
と、その転置行列
を用いて以下のように表現することができます。
この分解を行列のコレスキー分解と呼びます。
コレスキー分解が適用可能な行列は限定されるものの、LU分解と比較して下三角行列
具体的な計算で見るコレスキー分解の計算方法
3×3の行列のコレスキー分解を具体的に計算する例を以下に紹介します。以下の3×3正方行列
すなわち、以下の6本の方程式が成り立ちます。
6個の変数に対して6本の方程式が成立するため、この式を解くことでコレスキー分解が可能です。
ただし、
ただし、「対角成分を正にする」ことを規定すれば、コレスキー分解の解は一意に定まります。対角成分を正とすることとして上記の方程式を解くと、以下の解が得られます。